「莫種樹」という言葉があるそうだ。「庭に樹を植えてはならない」という意味で、李賀という人の漢詩の一部だそうである。漢詩の世界はよくわからないが、この詩だけは妙に納得して、全文を検索してみた。
園中莫種樹 園中に樹を種うる莫れ、
種樹四時愁 樹を種うれば四時愁う。
獨睡南牀月 獨り睡る南牀の月、
今秋似去秋 今秋も去秋に似たり。
解釈は様々になるようだ。樹を植えてしまうと、季節折々に花が咲いては散ってしまい、悲しみが取り付いてしまうから、などと、いわゆる「もののあはれ」的な解釈もあるが、もう少し素直に、『庭に樹を植えたら、いつもそれが気になって勉強が手につかなくなる』と読んでみる解釈もある。僕はこっちの解釈が好きだ。李賀は、科挙に挑戦しようとして、そもそも受験自体を拒まれてしまうという不幸な人生を送ったそうである。過酷な試験勉強に取り組む青年が、窓の外に美しく咲く花々をちらちら見てしまう光景が浮かんでくる。そして、非常に共感を覚える。
僕自身、予備校で教鞭をとりながら、ある試験に向けて勉強中の身である。バラを育て始めたのも、日中家にいることが多いからケアできるし、息抜きにいいかなと思ったことが理由の一部である。ところがいざ育ててみると、なんだかいつもバラが気になって仕方がない。休憩しようと思うと、まずはバラを見に行って、それからタバコを吸いにいったりする。朝起きるとバラチェック、勉強の合間にバラチェック、出かける前にバラチェック、仕事から帰るとまずはバラチェック、寝る前にバラチェック、、、、、まさに「四時愁う」である。
ま、水やりしないと!という強迫観念があるから早起きがばっちり習慣化されたし、バラの香りを嗅ぐと気分がすっきりして(爽快感というよりは落ち着き感だが)効率アップ!!だしいいか。自分的にはメリットの方が大きい、と自分を納得させている。
今回はシンデレラです。香りがあるミニバラ、ということで当家第一号のミニバラになりました。『丹精すればよく咲くようになるわよ』と駒場ばら園の方に言われ、一番日当たりのいい所において文字通り丹精したら、一番花はたった一輪でしたが、二番花でたくさん咲いてくれました。
香りは、ダマスクとは対照的な、鼻につんと来るようなスパイシーなものです。粘性の香りというのでしょうか。少し青臭さもあって、チャイナローズを嗅いだときの香りににてます。好きずきが分かれるかもしれません。
シンデレラに関しては、香りよりもその佇まいが気に入っています。どこか日本的、もうすこし広げて東洋的なんですね。盆栽仕立ての写真をよく見かけますが、まさにそういう雰囲気にぴったりです。『莫種樹』を読んだときに、シンデレラが僕の頭に浮かびました。個人的には、ミニバラならこれ!という品種です。もう2週間くらい経ってしまったので、上部の花が変色してしまっているので、断片的な写真になってしまいました。
それにしても、『丹精すれば』って、いい表現ですよね。このかたは、きっとバラを丹精して育ててきたのだ、と少しばかり感動しました。

最近のコメント